現代では、30代から更年期を意識する女性が増えています。昔は「更年期なんてまだ先の話」と思われていましたが、ストレス社会や生活習慣の変化、出産年齢の高まりなどの背景から、ホルモンバランスが乱れやすい女性が若い世代にも急増しているのが現状です。
そんなときこそ、自分の身体を根本からサポートできる“深層筋”に着目したストレッチで、女性ホルモンの安定を助け、身体の不調を軽減していきましょう。
1:なぜ更年期と深層筋が関係するの?
更年期にはエストロゲン(女性ホルモン)の分泌量が変動し、自律神経の乱れや骨密度の低下、血行不良など、さまざまなトラブルが起こりやすくなります。ここで注目したいのが「深層筋(インナーマッスル)」です。骨盤底筋群や多裂筋(たれつきん)、腹横筋などの深層筋は、骨格を内側から支える大切な役割を果たします。
- 骨盤底筋群:骨盤の底に位置し、内臓を支えるほか、尿漏れや子宮下垂を防ぐなど、女性の健康に深く関与。
- 多裂筋:脊椎を安定させる筋肉群で、背骨の左右の回旋をコントロール。姿勢の保持にも影響。
- 腹横筋:お腹をコルセットのように締める筋肉で、腹圧を高め内臓を正しい位置に保つ。
これらの深層筋がしっかり働いていると、骨格が正しい位置でキープされ、血流やリンパの流れがスムーズに。結果としてホルモンバランスの乱れによる不調が軽減しやすくなるといわれています。
2:深層筋をケアするメリット
- ホルモンバランスの安定をサポート
深層筋が整うと身体全体の循環が良くなり、自律神経の乱れも軽減される可能性があります。 - 腰痛・肩こりの軽減
正しい姿勢を保ちやすくなるため、慢性的な腰痛や肩こりが起こりにくくなります。 - プロポーションの改善
骨盤の歪みが改善されることで、ぽっこりお腹や下半身太りなどにアプローチ。 - 尿漏れ予防
骨盤底筋が強化されると、くしゃみや大笑いで尿が漏れやすい方でも予防効果が期待できます。
3:深層筋ストレッチの基本理論
深層筋へのアプローチは、表層の大きな筋肉(アウターマッスル)をただ伸ばすだけでは不十分です。以下のポイントを押さえましょう。
- 身体を温めた状態で行う
深層筋は体温が上がっているときに伸びやすい傾向があります。入浴後やホットヨガ後など、筋肉が温まったときがおすすめです。 - 呼吸を意識する
深層筋と呼吸は密接な関係があります。特に腹式呼吸(お腹を膨らませる呼吸)は腹横筋を刺激し、骨盤底筋群も動員しやすくなります。 - 小さな動きでOK
激しく大きな動きよりも、小さな動きを丁寧に繰り返すほうが深層筋にしっかりとアプローチできます。 - 痛みのない範囲で
深層筋は意識しにくい分、無理なストレッチで痛めてしまうリスクも。痛気持ちいい程度の圧を心掛けて。
4:実践!女性ホルモンを賢く守る深層筋ストレッチ
ここでは骨盤底筋群、腹横筋、多裂筋にアプローチできる簡単なストレッチを紹介します。
1)骨盤底筋群にアプローチ:ペルビックティルト+呼吸法
- 狙い:骨盤底筋群と腹横筋を同時に刺激し、下腹部を安定させる
- やり方
- 仰向けになり、膝を立てて足を床につけます。腰の下に手のひら1枚分のスペースを保つイメージ。
- 息をゆっくり吐きながら骨盤を後ろに傾け(腰を床に押し付けるように)、同時に骨盤底筋をキュッと締める。
- 息を吸いながら骨盤を戻し、手のひら1枚分のスペースを作る。
- 10回ほど繰り返す。
- ポイント:骨盤底筋を締めるときはお尻の穴や膣を軽く引き上げるイメージを持ちましょう。
2)多裂筋にアプローチ:ネコとウシのポーズ(キャット&カウ)
- 狙い:背骨を動かしながら多裂筋に刺激を与え、背骨の可動域を拡大
- やり方
- 四つばいになり、肩の真下に手首、股関節の真下に膝を置く。
- 息を吐きながら背中を丸め(キャットポーズ)、おへそを覗き込むようにする。
- 息を吸いながら背中を反らし(カウポーズ)、胸を開くようにする。
- 10回ほど繰り返す。
- ポイント:動作はゆっくりと行い、骨盤まわりの動きも意識。骨盤底筋を軽く締めるとさらに効果的。
3)腹横筋を意識:プランク+呼吸
- 狙い:腹横筋を鍛えつつ呼吸を合わせることでインナーマッスル全体を活性化
- やり方
- うつ伏せから前腕を床につけ、肘を肩の真下に置く。
- 膝またはつま先を床につけて身体を一直線に保つ(膝つきプランクでもOK)。
- この状態で腹式呼吸をゆっくり5呼吸。
- ポイント:腰が反らないように注意。下腹部を少し引き上げる意識を持つ。
■続けることで得られる効果
深層筋ストレッチやトレーニングを続けることで、次のようなメリットが期待できます。
- PMSや更年期症状の緩和
ホルモンバランスの乱れが軽減されるだけでなく、血行が良くなることで冷えなどの女性特有の悩みも和らぎやすくなります。 - 姿勢の安定
鏡を見るたび「猫背になってる…」と思っていた方も、意識しなくても背筋がスッと伸びるように。 - ダイエット効果
インナーマッスルが働くと基礎代謝が上がるため、無理なく痩せやすい体質づくりに繋がります。
◎実際の症例:更年期障害に悩むBさんの場合
Bさん(42歳・女性)は急に始まったホットフラッシュや寝汗、イライラ感に悩まされるように。医師から更年期症状だと診断され、サプリメントや漢方を試したものの、劇的な改善は得られませんでした。そこで友人の勧めでピラティススタジオに通い始め、骨盤底筋群や多裂筋を中心としたメニューを週2回のペースで実践。3ヶ月ほど続けた結果、汗の出方やホットフラッシュの頻度が明らかに減り、気分も落ち込みにくくなったそうです。特に「身体の軸が整ったことで、疲れにくさを感じるようになった」とのこと。
■まとめ
30代から更年期を意識する時代だからこそ、深層筋をしっかりとケアすることが重要です。表面的な筋肉を鍛えるだけでは得られない、内側からのサポートを実感できるはず。特に骨盤底筋群や多裂筋、腹横筋などのインナーマッスルを意識してストレッチを行うと、女性ホルモンバランスの安定にも一役買ってくれます。
激しい運動が苦手でも、呼吸法を取り入れながら軽めのストレッチや簡単なエクササイズで充分に効果を期待できます。大切なのは、無理なくコツコツと継続すること。
ぜひ、明日からのセルフケアに取り入れてみてくださいね。
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